SingularityU Japan Summit

Interview with Mr. Takeshi Fujii (Strategy Leader, Deloitte Tohmatsu Consulting)

Would you please share with us about the global relation Deloitte has with Singularity University?
Deloitteとシンギュラリティユニバーシティ(以下SU)は、グローバルパートナーとしてどのような関係を築いていますか?

DeloitteはSUのグローバルパートナーとして特別な関係を築いてきました。SUが立ち上がり早期の段階から、SUの掲げるビジョンに共感しSUの活動を世界的に展開すべく全面的なサポートをしてきています。

例えばSUが定期的に米国内のみならず世界各地で開催しているサミットについては、各国の状況によりますが、多くの場合、その企画・運営支援のほか、講演者としてもDeloitteのExpertを派遣しています。また最近では、SUの海外展開の支援も始めており、昨年初めて米国外に設立されたオランダのSUローカルオフィスの立ち上げもDeloitteがパートナーとしてサポートを行いました。

Deloitteの幅広いクライアントに対するコンサルティングでも協働しています。SUが企業エクゼクティブ向けに提供しているプログラムを協働でカスタマイズし、企業の戦略策定やエクスポネンシャルな組織への変革を進めています。

What is your role in this (Japan) Summit?
ジャパンサミットでのデロイト トーマツ コンサルティング(以下DTC)の役割は?

日本企業がエクスポネンシャルな成長を実現していくための加速支援をします。
日本企業においても、第4次産業革命の流れの中で、AI、IoT、Big Dataに代表されるエクスポネンシャル・テクノロジーの活用や非連続イノベーションなどへの取り組みが始まりつつあります。私共はSUジャパンサミットを起点に、DTCが有する日本企業や日本政府との強力なネットワークを通じて、SUのPerspectiveを日本企業の中に広く展開し、日本企業のエクスポネンシャルな成長への取り組みを加速することが、基本的なミッションだと考えています。

How do you foresee the theme of "Reshaping Japan’s Future Together” becoming a reality?
「日本の未来を形づくる」というテーマが、将来実現するかどうか、どのようにお考えですか?

非常に重要であり、議論したい点です。従来、日本企業は「クローズド(閉ざされた)」なネットワークの中で改善を積み上げていくようなイノベーション力や、ものづくりの高いクオリティに、強みを有してきました。ところが、今この瞬間も、産業革命並みに産業構造が大きく変わってきている中で、従来の強みが薄れてしまっているのが現状です。しかし私共は、この産業構造変革のトレンド自体は、日本を「Reshape(再び形づくる)」する上で、非常に良い機会だと捉えています。

では、本当に日本を「Reshape」できるのか。その実現に向けては、日本企業にはいくつか重要なチャレンジ(乗り越えるべき課題)があると考えています。

1つは、「オープンイノベーション」の“当たり前化”です。日本企業は総じて、「Not Invented Here」と言われるような、外部のリソースを使ったり外部のエンティティと連携したりすることが、未だ苦手です。それが昨今ようやく、経営者自身が「それでもオープンイノベーションをしなくてはならない」というマインドに変わってきました。私共も、シリコンバレーやイスラエルなど世界中のスタートアップと日本企業とのオープンイノベーションの支援を日々行っていますが、この変化はひしひしと感じています。外部と連携してエクスポネンシャル・テクノロジーを自社に取り込み、自社のテクノロジーやビジネスモデルと融合させ、グローバルレベルでオープンにビジネスを作っていくことは容易ではありませんが、このような取り組み自体を社内で“当たり前”のものまで昇華させることができるかどうかというのが、1つ目の大きなチャレンジだと思っています。

2つ目は「組織や経営自体のイノベーション」です。日本企業だけでなく、欧米企業でも同じですが、既存事業を確実に成長させていくためのマネジメントの在り方と、エクスポネンシャル・テクノロジーを活用した新たなビジネスなどに代表される、これまでにない新規事業・イノベーションのマネジメントの在り方は明確に異なっており、経営としてこれらを両立することが大きなチャレンジです。しかしながら多くの日本企業では、「既存事業のマネジメントの方法でイノベーションをマネージするので新しいものが持続的に生まれない」ケースや、「既存事業のマネジメントとは距離を置いたイノベーションのマネジメントを全く別に導入したが、既存事業との距離が離れすぎてしまい機能しない」ケースが非常に多く見られます。
DTCでは、この課題を解決する手法を「イノベーションマネジメント」と呼んでおり、DTCでも経済産業省の事業の中でフレームワークを開発、ナレッジを公開して、それを起点にこれまで多くの日本企業のイノベーションマネジメント改革を進めてきています。
SUが提唱するエクスポネンシャル・テクノロジーを日本企業が取り込んでイノベーションにチャレンジしたとしても、イノベーションマネジメントが整備されていないと、持続的な成果を得ることができない。これは、SUが提唱する「エクスポネンシャル・オーガナイゼーション(飛躍型企業)」のコンセプトとも密接にリンクします。イノベーションマネジメントを積極的に導入していくことが、日本企業にとっての2つ目のチャレンジと言えます。

最後に挙げるチャレンジは、組織あるいは個人としての「大義」を持つことではないかと思っています。
SUが提唱する考え方に、エクスポネンシャルに成長する組織にはMTP:Massive Transformative Purposeが必要である、というものがあります。エクスポネンシャル・テクノロジーの活用に焦点が行きがちですが、実はSUが提唱する考え方の本質はテクノロジーにはなく、あくまで発想の起点は世界の深刻な社会課題を解決するという大きな大義にあり、その大義があればこそ、イノベーティブな発想が生まれるというところにあります。しかもこれまで難しかった課題解決が、昨今のテクノロジーの進化によって手の届くところにまできているという非常に大きなチャンスを迎えているということです。
結局、「大義」ある野心的な目標を立て、その実現に向かって組織をあげて取り組むという、ある意味「経営者としてのアスピレーションの高さ」が最後に求められる大いなるチャレンジになるのではないでしょうか。SUの様々なエキスパートが素晴らしいナレッジを提供したとしても、日本企業がそれを咀嚼し実現するまでの許容力を持つためには、そもそも経営者あるいは組織としての志の高さが求められてくると考えます。

Why would you recommend someone to join this community?
ジャパンサミットのコミュニティにパートナー/オーディエンスとして他社が参加することを勧める理由は?

先ほど触れましたが第4次産業革命で産業構造が大きく変わってきているなかで、企業が今後生き残るためにはオープンイノベーションが必須です。様々な新しいテクノロジーを外部から自社に取り込んでいかなければいけないというのは、どの業界においても共通の課題でしょう。
現在、エクスポネンシャル・テクノロジーを持っている、あるいは新たに開発しようとしている、最先端のアントレプレナー(起業家)や企業の中のイノベーターが世界中から集まってきているのが、SUです。他に同じようなコミュニティは世界にないと思います。自社をイノベートして、さらに成長させていくことを考えている企業であれば、積極的にこのコミュニティに入るのは正しい選択でしょう。今多くの日本企業が、中期計画などにおける経営課題として「オープンイノベーション」を掲げています。そのような企業は是非ともSUのコミュニティに入って頂きたいと思います。

私もサンフランシスコで開催されるSUグローバルサミットに参加していますが、やはりその中で行われるセッションは非常にインスパイアリングで、私自身の目線を大きく引き上げられます。SUは日本の中では現時点ではまだ広く認知されていないですし、ようやく雑誌などで取り上げられるようになってきたものの実態がよくわからない、という方がほとんどなのではと思います。
SUのサミットに参加することで最先端のテクノロジーの知識が得られるのではとお感じになっている方も多いかと思いますが、実際にこのサミットで得られるのは、もちろんテクノロジーの情報もさることながら、より大きなポイントは、自分自身あるいは自身が所属する組織の「大義」とは何かをあらためて自問自答させてくれることにあると感じています。これは外から見ていてもなかなか理解しにくい部分です。やはり実際に参加して頂くのが重要と思います。

How do you think DTC can best contribute to maximizing the benefits of the SingularityU community in Japan and beyond?
DTCは、ジャパンサミットのコミュニティから得られるメリットをどうすれば最大化できるよう貢献できるでしょうか?

DTCは大企業向けのコンサルティングサービスを提供していますが、グループ会社の1つであるトーマツベンチャーサポートでは、ベンチャー企業のコミュニティも持っています。ある意味、日本の中のイノベーションやエクスポネンシャル・テクノロジーに関心が高い層を面で押さえているので、まずそのコミュニティを更に大きくするという貢献ができるのではないかと考えています。

また、先ほど申し上げたように、SUはコミュニティでありネットワークです。一方で実際に各企業が自社を改革しイノベーションを実現していくには長い道のりが必要です。DTCは、SUに参加してインスパイアされた各企業の現場での改革やイノベーション活動を加速させ、実際に成果を上げるまで伴走支援します。それにより、まさに先ほどの「日本の未来を形づくる」ことに貢献できると考えています。

パトリック

DTCとのパートナーシップが締結できて、大変嬉しく思っています。
DTCは様々な専門性に溢れる企業です。また、外資系企業と日本企業両方の特性を持ち合わせていて、日本国内外の様々な専門性もあります。このコンビネーションは私たちにとってとても力強いものです。
私たちSUジャパンサミットとしての役割は、日本企業・団体に目を覚ましてもらうよう働きかけることです。サミットは、日本国外の最も優れているもの(知識や経験)を国内で共有し、日本で最も優れているものを日本国外と共有するための機会です。3日間行われるサミットに参加していただく約300名は、慎重に選定され、シンクタンクとして日本の未来を形づくるサポートをしていただく方々です。私たちの役割は、人々を集め、目を覚ますよう働きかけ、日本が将来あるべき姿について考えを共有していくことです。
DTCにジャパンサミットの最初のパートナーとして参画していただき、日本でのSUの活動をリードいただけることをとても嬉しく思っています。これは1度のサミットだけではなく、私たちの長く続いていくパートナーシップ、そして日本の未来を形作っていく「旅路」の始まりです。ジャパンサミットが、日本の転換点となることを期待しています。ですから今回のサミットは、日本の企業・団体とのパートナーシップ、日本人の参加者にフォーカスしています。よろしくお願いします。

藤井

これは「ロングジャーニー=長い旅路」とこのことで、このサミットの後に参加者がどうしていくかが重要だと考えていますが、パトリックさんはどうお考えですか?

パトリック

オランダのサミットの運営者は、リージョナルのライセンスを持っていますので、オフィスも設立しました。次のステップとしては、日本全国で、ライセンスを取得してSUを広めていくことを目指しています。3日間のサミットとしてではなく、サロンなど(小規模な)イベントも開催していきたいと思っています。サミットが終わった後も、それぞれのパートナー企業と個別のミーティングを行う機会も持ちたいと考えています。サミット後1週間経って、サミットで得たものを忘れられてしまうのでは勿体ないので、DTCからサポートもしていただき、そのような活動もしていきたいと考えています。

藤井

はい。是非、"Reshaping Japan’s Future Together”に向けて、ロングジャーニーを一緒に楽しみましょう!宜しくお願い致します。

藤井 剛/Takeshi Fujii

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員 パートナー

ストラテジー リーダー

電機、自動車、航空、消費財、ヘルスケアなど幅広い業種の日本企業において、戦略、イノベーション、組織改革等の幅広いコンサルティングに従事。Deloitte Innovation PracticeのJapanリーダー。日本企業のイノベーション力強化に向けたトップマネジメント主導でのイノベーティブな組織創りや、シリコンバレー・イスラエル等のベンチャー企業とのオープンイノベーション支援、日本各地域の都市を核とした新産業創造にも多くの経験を有する。